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2011年3月25日



ジャパン遠く(Japan Talk) 日本が消える日?

 オーストラリアに永住して、10年以上たち、"Where are you from?"と聞かれても、"Australia."と答えるようになった。日本がどんどん遠くなる現状を漠然とつづってみた。
 海外に出てから日本を懐かしむことは別にないのだが、その間に日本にいろいろと変化が生じている。まず始めに、私が卒業した高校が廃校になったのを知った。ひょんなことから、高校時代の成績証明書が必要になるかも知れないということが発端だった。卒業証明書は、何かの時に必要になるといけないので、海外に出る前に何通か取っておいたのだが、成績証明書は予想していなかった。

 早速、インターネット上で、高校の連絡先を検索すると、引っかからないばかりか、廃校のニュース。その数年後には私が卒業した中学校も廃校になった。そのうち、日本そのものがなくなるのかもなぁと思いながら、私が卒業した小学校と幼稚園も探してみた。幼稚園はすでになし。残っているのは、小学校だけであった。
 「故郷は遠くにありて思うもの」という言葉がある。その真意は知らないが、一見、ホームシックな表現に受け取れる。

 2011年、ご存知のように、オーストラリアでは、各地で豪雨による洪水の被害が出ている。私も、朝、仕事で訪れた得意先が、その午後には水没した経験をした。これは、1995年の阪神大震災を思い出させた。地震の前日、私は大阪にいたからだ。

 そして、3月11日。昼のニュースで、中国の地震を知った。その夕方、オーストラリア国内の親戚から、日本で地震があったとの話しを聞いたが、中国の地震と勘違いしているのだと思っていた。夜になると、別の知人から電話があり、間違いなく日本だという。慌てて、テレビのニュース番組を探すと、日本の地震、そして津波。私の脳裏には、小説「日本沈没」がよぎった。
 オーストラリアなら、洪水で国土が沈没することはない。しかし、日本は、地震と津波で、国土沈没がありえる。財政難に陥った国家が消滅することはあっても、国土消滅ではない。しかし、日本は、国土消滅がありえる。

 翌日には、原子力発電所での爆発。すぐに、国内外から、人災との批判があがり、ここオーストラリアでも、「あの電力会社は過去にも事故を隠した経緯があり、菅首相は彼らの言うことを素直に信じてはいけない」 との、専門家による注意が放映された程である。
 そして、外国人はこぞって日本国外に脱出。日本に支社を置くドイツのSAPやベンツは、すぐにドイツ人社員を帰国させた。アメリカ軍人の家族は、アメリカ軍用機で横田基地から日本を離れた。
  国家が航空機をチャーターした国もあれば、自前で脱出した国もある。オーストラリアでは、高額の航空券代をぼられたと帰国者が怒り、高額の航空券代を払えずに取り残された人が、TVでオーストラリア政府に哀願した。
 さまざまな形で、日本にしか住めない人と日本以外の国に住める人の差があらわになった。そして、日本以外の国に住めるが、金がなくてそれが実現できない人の存在もクローズアップされた。

 子供に会うために偶然、地震前に日本からオーストラリアを訪ずれていた人がいる。日本が心配で、食料を送っていた。3ケ月までなら、オーストラリアに留まれるが、その後は戻らなければならない。

 オーストラリアには、ペアレント・ビザといって、親を呼び寄せるビザ枠がある。便利に聞こえるが、条件がある。その一つは、子供の半数以上がオーストラリア市民、あるいは、永住者であること。つまり、子供が3人いる親の場合、一人だけが永住者では該当しないのである。もう一つは、AoSと呼ばれる保証金。
 また、ペアレント・ビザの枠はかなり小さく、現状では、申請しても審査待ちに20年と言う厳しさだ。サブカテゴリーとして、コントリビュートリー・ペアレント・ビザというのがあり、この方が枠が大きく、2年待ち。しかし、AoSを10年間、オーストラリア政府に預けておく必要があることと、ビザ申請料金が4万ドル近いなど、金銭的負担がかなり大きい。

 故郷には、自分が生まれ育った土地の意味だけでなく、古くなって荒れ果てた土地という意味もある。ノスタルジックな表現なのかは知らないが、同時に、「木枯し紋次郎」のあるエピソードに、「おめえさんのことは、思い出しもしねぇが、忘れもしやせん」という、禅問答もどきの台詞があったのを思い出した。
 



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